モンスターエナジーの飲み過ぎで死亡する過程を見てみよう
モンスターエナジーに興味がある人の多くが、モンスターエナジーの飲み過ぎで死亡した事故についてでしょう。アメリカでは10代の子どもたちがモンスターエナジーを始めとするエナジードリンクを一気に大量に飲んで死亡したとされる事故が起こり問題となっているニュースをどこかで見聞きしたからだと思います。
では実際にモンスターエナジーの飲み過ぎで死亡するまでの過程を見てみましょう。
モンスターエナジーによる死亡原因
モンスターエナジーを飲みすぎることで死亡する主な原因とかんがえられるのがカフェインです。一応カフェイン以外の主な成分を説明すると、糖分、ビタミン類など。エナジードリンクらしい成分として高麗人参やガラナ、カルニチンなどが入っていて、海外ではタウリン、日本ではアルギニンが配合されていますが、これらはごく微量であり何本も飲んだからといって死亡する原因になるとは考えられないようです。
カフェインはこれらの成分よりも少なく配合されていますが、多く摂取することでカフェイン中毒になり、飲みすぎると死亡する可能性がある成分であることはわかっています。もちろんモンスターエナジーだけでなくコーヒーなどもこの危険性に該当するので、実はモンスターエナジーが危ないわけではなくカフェインが入っているものはすべて同様の危険性を持っていると考えるべきなんですね。
何本モンスターエナジーを飲むと危険?
モンスターエナジーに含まれるカフェイン量によって、何本飲むと危険かがわかります。ちなみに100mlあたりに含まれるカフェイン量は、1本473ml(160mg配合)のアメリカよりも1本355ml(142mg配合)の日本のほうが多いことはほとんど知られていません。アメリカのモンスターエナジーはカラフルで何だか強烈なイメージがありますもんね(^_^;)
まずカフェインを摂取すると最初に急性カフェイン中毒の症状が出ます。主な症状は動悸、頭痛、吐き気、不安、焦燥感などです。普通はこの段階でモンスターエナジーに限らず何かを飲もうとか食べようと思える状態ではなくなります。例えば座りたい、横になりたい、水を飲んで落ち着きたい、と思うのが一般的な行動でしょう。
カフェインに弱い人はモンスターエナジーを2本(コーヒー2~3杯分程度)飲んだだけでも急性カフェイン中毒の症状を感じますがカフェイン耐性がある人は3本くらい飲んでもまったく症状をかんじることない場合もあり、人によって「どれくらい飲んだら危険水域か」というのは差があります。ここでは一般的にほとんどの人が急性カフェイン中毒になる量をまとめました。
約半数の人が急性カフェイン中毒になるモンスターエナジーの量
急性カフェイン中毒は、体重1kgあたり6.5mgのカフェインを摂取すると、約半数の人に現れるとされています。
カフェイン量 | 本数 | |
アメリカのモンスターエナジー | 455mg | 3本(約1.5L) |
日本のモンスターエナジー | 455mg | 3本半(890ml) |
体重70kgの成人男性は1時間以内に455mgのカフェインを摂取すると半数の人に急性カフェイン中毒の症状があらわれます。
致死量となるモンスターエナジーの量
年齢、体格、カフェイン耐性等々個人差が大きく関係しますが、5~10gのカフェインを短時間に摂取するとカフェインで死亡します。このことをモンスターエナジーの本数と量で考えてみましょう。
カフェイン量 | 本数 | |
アメリカのモンスターエナジー | 5,000mg | 31本(約14L) |
日本のモンスターエナジー | 5,000mg | 35本(12.5L) |
アメリカも日本のモンスターエナジーどちらも10リットル以上を短時間に飲むことで死亡します。正直ここまでの量を飲むことは至難の業です。モンスターエナジーは1ケース24本入りなのでアメリカにしろ日本にしろ短時間で1ケースを軽く飲みきってさらに10本近く追加で飲み続けないと死亡に至ることはできないと考えられます。
エナジードリンクは水分量が多いこともあり、死亡する量のカフェインを摂取するためには大量の水分を飲みこまなればいけないのです。簡単に死亡することは難しく、これだけ飲むのは拷問に等しいでしょう。改めて言いたいことは、この量を1日や1ヶ月で飲むと死亡するのではなく短時間の間に一気に摂取した場合です。個人差がありますが数時間以内にすべて飲むと致死率が非常に高くなると思われます。
ここで注意したいのは体格が70kgの人の場合ですので、体重の軽い子供の場合は1ケース24本を一気飲みすれば死亡する可能性があります。が、やっぱり1ケース10リットルのモンスターエナジーを体が軽く細い子どもが飲みきるのはかなり厳しいのではないかと思います。
ではなぜモンスターエナジーで死亡したとされるニュースがあったのか
モンスターエナジーを飲んで死亡されたとされるアメリカなどのニュースでは、ほとんどが子供だったことです。子供の場合は体が軽く臓器の働きも大人に比べればまだ弱いこと、また人によってカフェインに弱い人もいることなど大人よりもカフェインに弱い可能性が高いことが考えられます。
またカフェインの錠剤や粉末、コーヒーなどをモンスターエナジーなどエナジードリンクとは別に摂取していた可能性なども考えられるでしょう。カフェイン錠剤や粉末は当然エナジードリンクとは比べ物にならないほど簡単に大量のカフェインを摂取できます。日本人男性が死亡した際もエナジードリンクが取り沙汰されましたが実際は錠剤も飲んでいたことがわかっています。
アメリカのモンスターエナジーは死因がモンスターエナジーの飲み過ぎによるものだったとは言えないと発表しています。飲み過ぎるという量では死亡することができないのは前述のとおりで、どう考えても10リットル以上飲み続けるのは子供では無理ですよね・・・。アメリカのモンスターエナジーがこのように発表するのも当然でしょう。
モンスターエナジーをはじめとするエナジードリンクは危険であるというイメージが世界中どこでも持たれていることと、「エナジードリンクの飲み過ぎで死亡」というワードは印象としてはかなりインパクトがあるため定期的にニュースやコラムがネットに出回りアクセス数を稼ぐ定番ネタになりつつあります。しかし多くの記事は最後に「エナジードリンクとの因果関係はまだわかっていない」と書いて締めています。実際どのような成分が入っていてどのくらい飲むと体調を崩すのか、さらに死亡するにはどれくらいの量を飲む必要があるのかを計算してみないと見えてこない部分が今回のテーマでした。
飲み過ぎは糖分やカロリー面で健康的にもどうかなと思う部分はありますのでほどほどにしつつ、変なニュースにはまどわされないようにしたいですね。
著者:エナジー・ドリン君
2001年頃、在米時にダンスシーンを通じてエナジードリンクに出会い感動。 帰国後日本ではネタ飲料扱いだったエナジードリンクの本当の魅力を伝えるために2013年総合サイトを開設。 エナジードリンクマニアとして改めてエナジードリンクを真剣に飲み始め、各国で狩りをして飲み集めたコレクションは世界7,000種類以上。 メディア取材を受ける評論家や専門家としても活動中。